鉄道模型ワンポイントアドバイス

このコーナーでは、みなさまからよくお問い合わせをいただく、16番(HO)ゲージ鉄道模型(ブラスモデル)の、主にお取扱い等に関する注意事項や、製造業者からのアドバイス、鉄道模型に関するヒント・ノウハウ等をご案内いたします。
なお、このコーナーに掲載される事項は、「こうしなければいけない」というものではなく、「こういう方法もあります」というものですので、ご参考にしていただければ幸いです。また、製品によりましては、該当しない場合もございますので、ご了承ください。

第1回 車輌の保存について

「車輌の保存」といいましても、実物で言うところの「動態保存」「静態保存」の保存ではなく、収納についての「保存方法」です。
車輌を箱に入れたままの状態での長期間の保存、および高温・多湿になる場所への放置をいたしますと、塗装面が傷む恐れがあります。
箱の中のパッキンのスポンジがボロボロになって車体にくっつき、それが取れなくなって塗装がダメになった…なんていう経験をお持ちの方も多いはず。

そこで、車輌を箱に入れた状態で長期間保存する場合は、箱に入れる前に汚れ・油分をよく拭き取り、ケバ立ちの少ない軟らかい紙(高級和紙等)でくるみ、さらに透明フィルム(当社製完成品車輌をくるんでいるフィルム)でくるんでから箱に入れ、箱の中には防湿剤(乾燥剤)・防カビ剤を入れ、高温・多湿になる場所(押し入れ等)を避け、風通しの良い場所で保存します。

パッキンにスポンジ・発泡スチロールを使用している場合は、車輌が直接スポンジ・発泡スチロールに触れることのないよう、十分にご注意ください。
スポンジがボロボロになったり、発泡スチロールが融けだしていたら、すぐに廃棄しましょう。車輌にくっついてしまったら、取り返しのつかないことになります。

パッキンに「エアーパッキン」を使用する場合も、エアーパッキンが直接車体に触れないようにしましょう。車輌を直接エアーパッキンで包んでしますと、いつのまにか車輌に水玉模様がつきます。

第2回 運転の前に…

車輌を運転する(走らせる)前には、車輌の整備が必要です。
(整備を怠ると、車輌、特に走行装置を傷めてしまう危険性があります。脱線転覆→落下→車体グチャグチャは、最大の悲劇!)
具体的な整備内容として、まず、台車軸受けにグリス(#6700 セラミックグリス)、または液体オイル(マッハ模型製品LPSオイル等)を少量注します。この整備により、「車輪の鳴き」が抑制される他、トレーラー車の転がりが改善され、「走り」が軽くなります。(結果として、動力車の牽引輌数が増え、MT比率が改善されます。)

また、ピボット台車(軸の先端が尖っている車輪を取り付けてある台車=トレーラー車のほとんど)の台車ボルスターを調整し、台車内での車輪の左右動(枕木方向の動き)を最小限に、しかも車輪が軽く回転するようにします。(コの字形の台車ボルスターが外側に開いてしまっている場合が多々ございます。その場合は内側へ曲げを強くします。基本的には角は90度=直角です。)

車輪の汚れも、丁寧に除去します。通常は軟らかい布やティッシュペーパーで拭き取りますが、落ちない場合はレールクリーニング液(#1901 レールクリーナー)を染み込ませた軟らかい布で拭き取ります。(クリーニング液は、カセットデッキやビデオデッキ用のヘッドクリーニング液でも代用可能です) これでも汚れが落ちない場合は、800番程度の耐水ペーパー(水研ぎペーパーヤスリ)で強制的に磨き落とします。ただ、磨きすぎると、車輪表面のニッケルメッキが剥がれますのでご注意ください。

なお、車輌を整備する際は、車体を傷つけたり破損させたりすることのないよう、十分にご注意ください。
(マッハ模型から発売されている「車輌修理台」が便利です)

第3回 レールの整備

運転の前には、車輌の整備の他、レールの整備もお忘れなく!
レールは、レールクリーニング液(#1901 レールクリーナー)を染み込ませた軟らかい布で拭き、その後乾いた布でもう一度拭きます。それでも汚れ(錆)が落ちない場合は、800番程度の耐水ペーパー(水研ぎペーパーヤスリ)で空研ぎ(水をつけないでヤスリがけ)します。

第4回 密着連結器の開放方法

当社製品の電車の多くには、密着連結器が装備されています。
この密着連結器は、実際に連結が可能なのですが、開放の際はちょっとしたコツが必要です。図をご覧ください。連結器を横方向へスライドさせると、比較的簡単に開放してしまうのです。(スライドさせる方向を間違うと、開放しませんので、ご注意ください)

第5回 密着連結器の調整

この密着連結器、連結してしまうと、文字どおり密着してしまうため、脱線等のトラブルが発生する場合がございます。そんな場合の対処方法は…
簡単に説明いたしますと、密着連結器が左右の他、上下方向にも動くように調整をします。
と文章で書くのは簡単なのですが、実際の作業は、言うと…
連結器を取り付けているビスを少し緩めて、連結器が上下にも少し動くようにします。連結器胴受けも、連結器が上下動できるよう、胴受け取付ビスを少し緩めておきます。
(ビスを緩めておきますと、走行中にビスが外れてしまう恐れがあります。一旦ビスを外して、少量のゴム系接着剤をビスの先端に塗り、その後ビスを元に戻しますと外れ難くなります)

第6回 ACEカプラーの連結&開放

当社製品の編成ものでは、中間連結器にACEカプラー(カツミ製)を使用しております。このACEカプラーは、連結&開放にちょっとしたコツがあります。(図をご参照ください)
連結させる際は、連結後に連結部をドライバー等で上から抑えて連結器が水平になるようにします。そうしますと、しっかり連結されて、走行中に開放してしまうなどのトラブルが起きにくくなります。
開放の際は、やはりドライバー等で連結部を下から持ち上げてやりますと、簡単に開放いたします。

第7回 パンタグラフの上昇・下降

パンタグラフは、鉄道模型の部品の中でも特に繊細で壊れやすい部品のひとつです。上昇させるとき、下降させるときにはパンタグラフを壊さないよう、十分にご注意ください。(図をご参照ください)

第8回 ワイパーの取り付け

当社製品の運転台付車輌の多くには、別袋詰めで「ワイパー」が附属しています。
このワイパーは、厚さ0.15mmの洋白製で、たいへん繊細な部品です。
取り付ける際は、ランナーを切って、そのまま取り付けるのではなく、ブレード部と足を曲げてから車体に接着します。車体には、通常、ワイパー取付穴が開いております(一部、穴のないものもあります)が、もし取付穴が小さくなってしまっていたり、塗料で埋まってしまっていたりする場合は、φ0.5くらいのドリル刃で穴を開けなおしてから取り付けます。取付には、少量の接着剤(ゴム系・エポキシ系)を使用します。

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